シナリオを科学する エモい研究所

シナリオ分析や表現を考える。打てないのはベンチがアホなわけではない。

バトルフロント(映画)

バトルフロント(映画) 1h33min

 

 

main 田舎に越してきた元潜入捜査官ステイサム、過去を知る敵から娘を守り戦う

sub ?

 

〇所感

上映時間とメインプロットの単純さに対して、サブプロットがよくわからない作品。

・ステイサムと娘/カウンセラーの関係

・敵夫妻の関係

・娘と敵夫妻の息子の仲直り

あたりかな、と思ったけどサブプロットがどんなふうに進行しているかが不明。ステイサムがあまりスケジュール体力的に動かせないから、サブプロットとする予定だった敵側サイドの物語を膨らませようとしたのか。でもタイトな映画だから、そこらへんも一度膨らまして、削ったような印象。久しぶりの難しい映画。

 

好きなシーンは、保安官が敵役から奢られたビールを、敵役が去った後に速攻投げ捨てるシーン。セリフもなく、たった一秒で二人の関係性がわかる、いいシーン。

エスケープルーム(映画)

エスケープルーム(映画)/1h35min

 

0min-5min デスゲームに挑戦する男性、壁に潰される寸前で暗転

5min-14min 参加者の日常

15min- 1ゲームスタート

25min- 第一ミッション開始 (ゲームが異常なものだと参加者気づき始める)

31min- 第一ミッション終了

・女兵士のトラウマがフラッシュバック

32min- 第二ミッション

・ベンのトラウマフラッシュバック

47min- 最初の死者

51min- 第二ミッション終了 ビジネスマンのトラウマ

第三ミッションスタート

59min- ゾーイのトラウマ

1h03min アマンダ死亡

1h13min- 第四ミッション

1h14min- ドライバー殺害

1h23min- 第五ミッション 生存者二名の戦い

1h30min- ゲームマスターとの対面、

1h38min- 警察と現場検証、

1h39min- 主催者と対決する決意を固める二人と新たなゲームを計画する主催者

 

〇所感

 おそらく、メインプロットのみで進行していく作品。次々と切れ間なくメインプロットが進行していくので、サブブロットがなくても成り立っている珍しい作品。リーアムニーソンの96時間もメインプロットのみで進行していく作品。

 視聴中は、内気で引っ込み思案の大学生の女の子の成長が主人公のサブプロットかと思ったけど、最初のゲームの時点でかなりアグレッシブに問題解決に挑んでいるので成長している感じはちょっと薄い。頭脳枠の参加者が生き残っている間は、彼に謎解きは任せて、彼が退場してから徐々に女の子が意見を出してくる、ってのが私だったら書きたかったかも。

 普段以上に雑なT/Tになったけど、分析あんまりいらなかった作品。畳みかけるように進行することでサブプロット不要or希薄にできる例があるという意味で楽しめた作品。

 

リベンジ・スワップ(映画)

リベンジスワップ(映画)

 

〇所感

面白かったので、途中からメモとるのも忘れてしまった。ポイントは相棒のエレノアを含む登場人物の敵対者→協力者の構造が頻繁に入れ替わることだと思う。とくに第一ボスが敵対者から情報をくれる協力者に、同時に協力者が敵対者だと判明するくだりは、脚本構成上勉強になるところがあった。立ち位置の変化は二人以上同時に起こした方が良さそう。

ジオストーム(映画)

ジオストーム(映画)

 

main 異常気象を引き起こす気象衛星の原因究明

sub   

1. 兄弟の関係性

2. 弟とガールフレンドのロマンス

3. 兄と気象衛星主任のロマンス

 

~第一幕~

メインプロット 準備

0min-3min 設定説明

4min-30min 人物設定・異常の前兆

サブプロット 準備

1. 兄弟の関係性(不仲)

2. 弟とガールフレンドのロマンス(恋仲止まり)

3. 兄と現場主任のロマンス

 

~第二幕~

メインプロット 推進

サブプロット3 兄と現場主任 出会う

30min- 兄気象衛星に到着

メインミッション1開始 衛星の回収

メインミッション1失敗 回収の失敗/事態の悪化

44min-

メインミッション2開始 パーツの回収

メインミッション2失敗 気象衛星の破損/回収成功

サブプロット3 兄と現場主任、協力してミッション遂行

サブプロット1 兄弟の通信、すれ違う

xxmin- 

メインミッション3開始 異常衛星の破壊

メインミッション3成功 衛星の破壊

1h15min-1h30min

メインミッション4開始 地上、弟、事件解決のため大統領の拉致決行

メインミッション4成功 作戦成功、事態解決のためアイテム入手

サブプロット2終了 弟とガールフレンド、死地をくぐりぬけ進展、結婚相手に

1h30min-

インターバル

サブプロット3終了 兄、現場主任と別れる

サブプロット1進行 兄弟和解、兄決死の覚悟で事態解決に向かう

 

~第三幕~

1h30min-1h38min

ラストミッション開始 兄、衛星の以上解決に向かう

作戦1 開始 ドアが開かない

作戦1 成功 ドアが開く

作戦2 開始 パスワードを入力できない

作戦2 成功 パスワードを入力、機能停止する

作戦3 開始 崩壊する建物からの脱出

作戦3 終了 兄回収される

ラストミッション終了 兄、現場主任と共に脱出

サブプロット1終了 帰還した兄、弟とハグ

後日談 エンド

 

〇所感

 メインプロットが宇宙と地上の二つの舞台、二人の主人公で進行するのがポイント。骨子にあるのは、きれいな三幕構造。対照的な二人の主人公が登場するW主人公ものの作品に転用可能かもしれない、一つのパターンとして勉強になりました。地上の弟が活躍、宇宙の兄が進行という流れだったので、その逆の流れも入れられるか、でも冗長かそれは。

 

〇感想

 こういうのでいいんだよ系、大味ディザスタームービー。世界規模の災害のはずなのに、もっぱら舞台は狭い人間関係、ちなみに被害にあうのは、ほぼ中東やアジア地域。THEエンターテインメン、VIVAポップコーンムービー。

SAS:反逆のブラックスワン(映画)

SAS:反逆のブラックスワン(映画) 本編1h58min

 

main テロリストに占拠された列車、事件の解決

sub

a.主人公とガールフレンドのロマンス

b.テロリスト姉弟の関係性

 

T/T

0min-7min 村を焼く傭兵テロリストの(掴みのアクションシーンと敵役の紹介)

7min-11min 実家の屋敷に戻る主人公(主人公の紹介)

11min-31min 主人公SAS、テロリスト自宅を襲撃(特殊部隊員という主人公の日常)

sub プロットa すれ違う主人公とガールフレンド

sub プロットb 顎で使い使われるテロリスト姉と弟

 

第一TP

31min-52min 列車に乗り込む主人公とテロリスト(メインプロット発進・異常発生)

subプロットa 老婆とガールフレンドのガールズトーク

53min-60min

第一ミッション開始 (SASの突入)

第一ミッション失敗 (事態の悪化)

・突入失敗

・ガールフレンドがテロリストに目を付けられる

sub プロットa 老婆の死亡、少女とガールフレンドの関係にシフト

インターバル(メインブロットは列車と共に停止している状態)

sub プロットa 少女と主人公の恋愛トーク、少女脱出

1h15min-

第二ミッション開始 (テロリストとの交渉)

第二ミッション失敗 (事態の悪化)

・主人公の知り合いSAS隊員の死亡

・主人公列車から離される

・主人公親友、内通者と判明

・爆弾の発見

sub プロットa 推進 人実交渉の場でガールフレンドとの関係微推進

sub プロットb 終了 テロリスト弟、決死の覚悟、姉誇りに思う

1h30min- 

ラストミッション開始 (列車の停止)

sub プロットa 推進 テロリスト姉と主人公、恋愛トーク

ラストミッション終了 (テロリストの死亡)

subプロットa 終了 ガールフレンドとの結婚式

 

 

〇所感

乗り物パニック映画だと思って視聴したら少しがっかり。話の推進軸に実は列車はほぼ関係ない。列車自体はすぐにトンネル内部で停止するし、ラストの再度動き出した列車を止めてのテロリストVS.特殊部隊のシーンにも、主人公、彼女、ラスボス全員そこにはそもそも、不在の状態。てっきり乗り物の暴走を止める、というメインプロットの進行に伴って、各サブプロットが並走するものかと思ってた。

 メインのサブプロットは、主人公とガールフレンドのロマンス。その進行の為に、老婆、少女、敵女テロリストが、話回し役として次々と出てきては、退場していく。この3人の入退場はメインプロットの進行と連動しているのはgood。ただ、どうしてもポット出の人形にしゃべらせている感じがして、少々苦手。

 また主人公が共感性の低い人間=サイコ(正直ここら辺のステレオタイプな描き方は好きじゃない)であり、それがガールフレンドとの溝になっている、という設定、それはテロリストをぶちのめして、解決できる問題ではない気がする。最終的には、まあ戦場の話だから、それはそれ、という終わり方。

〇骨子の中心軌道

恋人とすれ違う主人公→問題発生、→問題解決のプロセス→恋人と結ばれる。

わざわざ書く必要もない気がするが、シンプルイズベスト。骨子は単純なほど良し。

 

 

 

ザ・ベビーシッター ~キラークイーン~(映画)

ザ・ベビーシッター ~キラークイーン~(映画)

 

メイン 再び現れた殺人カルト集団から逃れる主人公の一晩の話。

サブ

a.前作登場のメアリーとのロマンス

b.転校生とのロマンス

c.主人公の精神疾患を疑う父親との関係性

 

 

0min-15min 前作の回想、主人公の状況説明

サブプロットa 発生 主人公の理解者メアリーとのロマンス 

サブプロットc 発生 主人公の精神疾患を疑う父親 進行

15min-28min 両親から逃亡し湖へ向かう主人公一行

サブプロットa 終了 理解者メアリーと湖へ逃避行、キスをする。   

 

28min-35min

メインプロット 発生 最初の殺人、メアリーが殺人鬼一味と判明。 

メインミッション① 進行 現場からの逃走

メインミッション➁ 失敗悪化 転校生と現場から逃亡、スキージェットと共に迷子

 

37-60min 

メインプロット 進行 カルトの敵達が次々と襲ってくるが撃退

サブプロットb 進行 転校生との親交を深めていく。

メインプロット 進行 メラニー父親を湖に呼び寄せる

 

60min-70min 

メインプロット 進行 キャビンに到着

サブプロットb 進行 転校生と親交、キス、仲をさらに深める

メインプロット 進行 父親到着

 

70min-

サブプロットb 進行 ベットサイドで彼女の過去を聞く

サブプロットc 進行 主人公を信用しない父親に捕らわれる、脱出。

 

メインプロット 進行 メラニーに捕らわれる転校生

メインプロット 終了 悪魔たちが破れ敗北。

サブプロットb 終了 主人公童貞でないと判明、転校生との仲が親交していた判明

サブプロットc 終了 悪魔の姿を見た父親、主人公の事を信じる

 

〇所感

 サブプロットaがメインプロット(第一TP)の発生と共に終了(実は殺人鬼だった)、同時に新たなサブプロットb(転校生とのロマンス)が発進する構成。同時にストーリーから一貫して、サブプロットc(父親の無理解)が走り続けている。メインプロットの進行に伴って、サブプロットが推進しているのがわかる。

 ヒロインチェンジor後から真のヒロインが出てくるといった形で応用が可能。もしくはダブルヒロイン制らしても適用可能。

・ヒロインaプロット 表向きのロマンス

・ヒロインaプロット ヒロインaの真意

・ヒロインbプロット 新たに発進するロマンスのプロット

メインプロットの進行に伴って、発展し、最後は選択する形に。

 

 真面目に馬鹿なことをやる、または馬鹿なことを真面目にやると面白い、の法則の作品。1作目もギャグは多かったけど、ホラーとして怖かった点もあった。今回に関しては、完全にギャグテイスト満載だった。同種だと、ハッピーデスデイの1→2なんかが当てはまる。

 前作の重要人物ビーに関する、サブプロットも明確に発進してもよかったのではないか、と思うけど、多すぎるかな。でもギャグデスシーンの数との尺のトレードオフになりそうだから難しい。

 

オールドピープル(映画)

オールドピープル

 

main 凶暴化した老人達の襲撃から逃れ脱出すること。

sub 

a.離婚した父と母の関係性

b.二女と地元少年のロマンス

c.三男と祖父の関係性

 

T/T 本編95min

0min-7min ナレーション、襲われる介護士(メインプロット始動までの掴み)

7min-30min 村に到着する一家、村は不気味な雰囲気

サブプロット始動

a.すれ違う元夫妻と夫の現在恋人

b.久しぶりにボーイフレンドと再会する二女

c.異常な雰囲気の老人ホーム、三男だけが祖父と心通わそうとする。

メインプロット始動

30min-35min 第一TP 暴れ始める老人たち

35min-50min 異常に気が付く家族

メインプロット進行

50min-60min 第一ミッション始動(家に籠城する)

サブプロット進行

a.元夫妻合流する

c.祖父、三男を屋根裏に隠して逃がす

60min-70min 第一ミッション失敗(敵ボス籠城する家に侵入)

サブプロット進行

a.元夫妻、協力してボスを倒す

70-80min

サブプロット進行

a夫現恋人、妻と確執発生、妻を裏切るが逆に死亡

第二TP

メインプロット進行

第二ミッション発生

80-94min 燃え盛る家からの脱出

サブプロット終了

a夫妻絆を取り戻し、直後に死亡

メインプロット進行

97min- 脱出する子供たち、ボスを倒し脱出エンド。

サブプロット

c.三男と祖父の絆が功を奏しボスの撃破

 

 

〇感想

 導入紹介異変異変異変結末、という比較的わかりやすい構成。サブプロットaの夫妻の関係性というテーマをメインプロットの進行と共に進めている。サブプロットがメインプロットに絡めてられるように進行していく様が明確で、勉強になった作品。

 

〇脚本骨子の抽出

過去を抱えた主人公Xが舞台Aに現れる。

舞台Aで敵Yが原因で異変が発生する

主人公、過去を解決し、敵Yを倒す

 

主人公が複数であったり、第一ミッション、第二ミッションが少々わかりにくいだけで旅人構造のお手本のような脚本でした。