シナリオを科学する エモい研究所

シナリオ分析や表現を考える。打てないのはベンチがアホなわけではない。

(ライブレポ) IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First DAY1 そこに確かにスリクスと「表現力」はあった。

 

セットリストは公式から公開されている。

中でも、本編シナリオとのリンクが強かった、DAY1公演の、印象に残った部分をピックアップ。

 

シーン①

直前のトリエルが作り出した静寂な一体感とふわふわした空気を一変させる、 

「 Ⅲ X 襲 来 」

7曲目. So What?

8曲目. Top of the Tops

 

アイプラ最新曲の「So What?」

実装されたばかりの新曲を先頭に持ってくるサプライズに会場はざわめき。更に誰も聞いたことがない2番からは、メロディラインも歌詞も完全に予測不可能、どこに着地するのかわからない無重力状態。直前のトリエルの楽曲で、まとまりかけた会場の空気と、観客の情緒をこれでもかと混沌に叩き落としてくる。とても傲慢で、とても蠱惑的で、とてもパワフル。多用される外しやズレの技法が耳に残り続ける。「HAHAHA~」

 

二曲目「Top of the Tops」

So what?」で混乱に陥った、会場の意識を引き戻す、プオーーーン!!プオーーン!プオ‐--ン!  / のサイレン音。「Bang Bang」のイントロ(例の不穏BGM)もそうだが、スリクスはライブでも劇中のシナリオでも、音を使って、自分たちのフィールドに相手を引きずり込むのが上手い。ウーファーから流れ出る、胸をドンドンと突き刺す重低音も当然健在。

 

会場の雰囲気を、一度ぶっ壊して、混乱に陥れた後、自分たちの色に染上げなおす。強くて、おっかなくて、(たまに面白い)、まさにスリーエックスなライブ構成。実際のライブバトルでも、スリクスはこうやって相手を叩き潰してきた、のではないかと想像が膨らむ。

 

シーン②

模索する月のテンペスト「表現力」の意を知る沙季お姉ちゃん

12曲目.最愛よ君に届け

13曲目.恋と花火

14曲目,The One and Only

 

筆者はアイプラのライブに行くたびに、

 

沙季お姉ちゃん役の宮沢小春さんのことを書き付けている。

今回のライブでもそれは同じで、

 

12曲目.最愛よ君に届け

月のテンペストの新曲。ゲーム本編の状況とリンクしているようで、琴乃ちゃんのソロパートがなかったり、楽曲中の琴乃のポジションが孤立していたりと、月のテンペストの物語が難局にある「今」だから作られ、そして聞きたい曲。

 

中でも、宮沢さんの表現に対する意識と集中力、そして技量は、本当に本当に素晴らしかった。

 

・一人立つ琴乃と、それを囲むように、背を向けて座る四人のシーン。あの態勢で全くぶれずに姿勢を維持する体幹の強さと、そこから振り切るように動き出す、動作とキレの良さや、

 

・ラスト直前。後ろ手を組みながら後退するステップ時、歩幅の大きさと、動きの滑らかさを維持しながらも、しっかりと表情を作っていたところだ。

 

他にもアンコール後の「Gemstones」における、指で階段をのぼるジェスチャーの際。伸ばした手と、一番遠い足がきれいな一直線で結ばれていたのも彼女だった。(もちろん視線は指先の動きを追ったままで!!)

 

(今回は歌わなかったが「表と裏」初披露時の、少し震えた声でソロパートを歌い上げる姿も彼女のベストシーンの一つ)

 

用意されたコリオを譜面通りにこなすのでは無い。芸事をやる間は口酸っぱく言われ続ける、「表現力」という、この言葉の意味を、自分の中にしっかりと落とし込んでいる稀有な方だな、と宮沢さんの沙季お姉ちゃんを見て思った。

 

(打って変わってMC時には、ふわっとした空気を纏うところもチャーミング)

 

そして13曲目の「恋と花火」

こちらも、琴乃ではなく、芽衣ちゃんがメインの月ストでは珍しい楽曲。

 

ゲーム内とのリンク性や演出を重視したDAY1では意図的に琴乃のパートは少なく設定されているように感じた。その代わり沙季さんが前面や中央に出てくる機会が多かったり、渚ちゃんの情感たっぷりのソロパート等、本編で試行錯誤する月のテンペストと重なって見えた。

 

以上 IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First DAY1``の感想です。

 

 

ちなみに、DAY2も面白く、興味深いことだらけ。

ソロ曲で解き放たれる怜(結城さん)の実力、

機材不調?‘の中プロとしての矜持を見せるリアルkanaちゃん(田中さん)

二日間フルパワーで歌い踊り、最終盤で更にギアを上げるさくら(菅野さん)などなど